白化したサンゴ、どうなった?

一見、キレイに見える、色鮮やかなサンゴと白いサンゴ。
サンゴが強いストレスを受けると生じる現象です。

サンゴの白化 ビフォーアフター

サンゴは白化したすぐ後は生きていますが、長く白化した状態が続くと死んでしまいます。

サンゴの変化 7月〜11月 白化前後 石垣島

 

白化後、死滅したサンゴ

サンゴが壊滅してしまった場所では、元のサンゴ群集に戻るには長い時間がかかると考えられています。

白化から回復しているサンゴ

白化したサンゴがすべて死滅するのでなく、ストレスが低減し環境条件が整うとサンゴは回復します。この夏、持ちこたえ、たくましく生き続けるサンゴの報告も届いています。
白化から回復したハマサンゴ

白化から回復し、さらに成長したサンゴ

白化から回復し更に成長 石垣島 米原 

白化していなかったサンゴ

サンゴの中にも白化しやすい種と白化しにくい種があり、同じ種の中でも高い海水温に耐性を持ったサンゴもいるようです。また、地点の環境条件によって白化状況に違いがあるようでした。
白化しなかった小さなミドリイシとアオサンゴ

写真提供:大堀健司 佐川鉄平


そもそも、サンゴの白化って何?

サンゴの体内には褐虫藻という藻類が住んでいます。サンゴがストレスを受けると、体内の褐虫藻の働きが低下し、十分な栄養を受け取れなくなります。やがて、サンゴの白い骨格が透けて見え白くなります。これが白化現象です。長く続くとサンゴを弱らせたり死滅させる原因になっています。

サンゴに適した水温は25℃から28℃
2016年、海水温の高い日が続きました。

サンゴの生息に適する水温は25℃から28℃といわれており、30℃を超える状態が長期間続くと白化が起こります。2016年は冬場からの海水温が高く、石西礁湖※1周辺では、台風の接近が少なかったこともあり、海水温が下がらず、30℃を超える日が2ヵ月以上続きました。
石西礁湖の水温 データ提供:環境省国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター
11月〜12月に行われた環境省による石西礁湖35地点での調査では、全体が死亡した群体の割合は70%※2に及んだことがわかりました。

※1 八重山諸島の石垣島と西表島の間にある日本最大のサンゴ礁域  ※2 環境省那覇自然環境事務所 2017年1月10日 発表

研究が進む、白化のメカニズム

大規模なサンゴの白化現象の報告は、近年増加しています。白化は異常な水温・光等の環境ストレスによる障害の一つと考えられていますが、白化のメカニズムについては、未だ解明されていない部分もあります。2016年12月に那覇で開催された日本サンゴ礁学会では、静岡大学の研究チームがサンゴの白化に高い水温で活発化するバクテリアが大きく影響していることを明らかにした発表をはじめ、白化現象に関する記録や研究が21件報告されました。

参考:日本サンゴ礁学会HP/国立環境研究所HP

もっと知りたい方への情報(外部リンク)

• WWFジャパン 2017年1月12日
「2016年のサンゴ礁の大規模白化とその後」
http://www.wwf.or.jp/activities/2017/01/1351912.html

• 環境省那覇自然環境事務所 2017年1月10日
「西表石垣国立公園 石西礁湖のサンゴ白化現象の調査結果について」
http://kyushu.env.go.jp/naha/pre_2017/post_28.html

• NHK 2016年10月19日
「沖縄 白化したサンゴの海に潜る」取材リポート
http://www.nhk.or.jp/d-navi/vr/camera/sango/

• 沖縄タイムス 2016年8月29日
「サンゴ白化、バクテリアが関与 静岡大が初解明」
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/59530

• 日本サンゴ礁学会
「サンゴ礁Q&A」
http://www.jcrs.jp/?page_id=622